1キーのフラウト・トラヴェルソ（バロック・フルート）。三本継ぎ、フランスバロック期の名工Pierre Naust（ピエール・ノース）のモデル、黄楊製、400Hzおよび392Hz。
2000年以降の製作と思われます（2017年ころの可能性とのご指摘もありました）。さるコレクターが所有していたものでほとんど未使用に近いこのノースは1700年前後のパリの最高の製作者で、現存する2例の3本継ぎのこの製作家のもののうち、D管のフルートの唯一の例です。材質はツゲで、御蔵島黄楊と聞いていますが非常に緻密で導管はまったく感じられません。見事な材です。くるい、割れ、反りなどの変形、不具合はありません。オトテールモデルに比べても発音がしやすく、音程もとりやすく演奏が容易であり、しかも味わい深い楽器だと思います。
木下氏はすでに製作をやめておられ、今後の入手の見込みはほとんどないと思われます。私はほかにも同氏の手になる楽器をもっていること、年齢のことなど考えてなくなく手放す決心をしました。
※製作年などについてご指摘をいただいたので、ほかの誤字などとともに、若干の修正をいたしました。